税引後利益とキャッシュフローの関係性は非常に重要です。
時間が経つにつれて減価償却費が変化することが大きなポイントです。
そこを見落とすと、購入後最初の数年は良かったけど、途中でキャッシュフローが詰まってしまうケースが多々あります。
税引前利益と税引後利益とキャッシュフローの関係
詳細を話すまえに、税引前利益と税引後利益とキャッシュフローの関係を記します。
税引前利益
=年間総収入-経費( 固都税・管理費・広告費・修繕費など )-ローン利子-減価償却費
税引後利益
= 税引前利益 - 所得税・住民税・事業税( 法人税・法人住民税・法人事業税 )
キャッシュフロー
= 税引後利益 - ローン元本 + 減価償却費
=年間総収入-経費( 固都税・管理費・広告費・修繕費など )-ローン利子-減価償却費
税引後利益
= 税引前利益 - 所得税・住民税・事業税( 法人税・法人住民税・法人事業税 )
キャッシュフロー
= 税引後利益 - ローン元本 + 減価償却費
■ 木造中古戸建てを現金購入した時の利益
まず、税引前利益についてお話しします。
新築では減価償却期間が長く( 建物部分RC47年、鉄骨34年、木造22年、付帯設備部分それぞれ15年 )、長期にわたって少しずつ償却していくので、償却期間の間、税引前利益は大きく変化しません。
中古の場合は要注意です。中古の場合、耐用年数に応じて償却期間は短くなります。例えば木造23年の場合は耐用年数切れのため償却期間は「 耐用年数x0.2=4年 」 となります。
例えば、利回り15%の築23年の木造戸建てを560万円( 建物320万円/土地240万円 )で現金購入して賃貸した場合、税引前利益は以下のようになります。
家賃年収84万円
( 固都税5% 管理費3% 修繕費0 ローン利子0 減価償却4年 )
<1年目>
税引前利益 84-4.2-2.52-80<0 ⇒ CF=0-0+80=80
<2年目>
税引前利益 84-4.2-2.52-80<0 ⇒ CF=0-0+80=80
<3年目>
税引前利益 84-4.2-2.52-80<0 ⇒ CF=0-0+80=80
<4年目>
税引前利益 84-4.2-2.52-80<0 ⇒ CF=0-0+80=80
<5年目>
税引前利益 84-4.2-2.52=81.28 ⇒ CF・・・?
( 固都税5% 管理費3% 修繕費0 ローン利子0 減価償却4年 )
<1年目>
税引前利益 84-4.2-2.52-80<0 ⇒ CF=0-0+80=80
<2年目>
税引前利益 84-4.2-2.52-80<0 ⇒ CF=0-0+80=80
<3年目>
税引前利益 84-4.2-2.52-80<0 ⇒ CF=0-0+80=80
<4年目>
税引前利益 84-4.2-2.52-80<0 ⇒ CF=0-0+80=80
<5年目>
税引前利益 84-4.2-2.52=81.28 ⇒ CF・・・?
4年目までは税引前利益が償却によって赤字になっているので、税金も0です。そのため、税引後利益も0となり、CFは80万円となります。
問題なのは5年目です。5年目には償却が切れたことによって税引前利益が81.28万円出ています。そのため、ここに所得税・住民税・事業税がかかってきます。これが一番厄介なところです。
例えば、サラリーマン大家で年間所得が500万円の方の場合を例にとってみます。個人の所得は累進課税なので所得税は20%、住民税は10%になります。
そのため、81.28万円に対する税金は、所得税が16.25万円、住民税が8.12万円となり、税引後利益は56.91万円、CFも56.91万円となります。税引前利益が出ることで課税が発生し、手残りのCFが小さくなったのです。
ただ、現金購入の場合は、手残りは残ります。しかし、これを繰り返していくと、収入が大きくなるにつれて一戸当たりの手残りはどんどん少なくなっていくということがわかると思います。
ローンの組んで購入した場合は、特に償却期間より長い融資を利用し、頭金が少ない場合は要注意です。キャッシュフローがマイナスになる危険が大いにあります。また次の機会にでも書きたいと思います。